フードビジネス立ち上げコンサルティング事例

フードビジネスコンサル手イング事例

復活事業支援金を活用して、これまでの創作料理居酒屋の事業に加えて、新しく菓子製造業の許可を得た工房を持ち、店頭販売、およびネット販売を始める店舗さんからのご依頼で新しいフードブランドのサイト構築に絡みマーケティングやブランディング、商品アドバイスなどさせていただいています。

店舗での既存客への販売を開始し、私自身も商品開発コンセプトからSNSで商品紹介を始めたところ、既に「それいいね!」の反応を頂き始めました。
ネット通販をまもなく開始で準備中ですが、これまで積みあげてきたステップをまとめておきます。

目次

コロナ禍で食のビジネスはどう変わったか、どう変わるべきか

コロナ禍で飲食店業の営業が著しく制限を受け、苦しい状況に置かれたことは言うまでもありません。

ただ「外食」が減っただけで「中食」への消費は増えていることは多くの統計データが示しているところです。

もともと、「食」は「単にそこで空腹を満たす」という「物販」的な価値よりも「美味しいものを食べる至福の喜び」や「家族や仲間と集う楽しさ、店主と交わす会話の楽しみ」、おしゃれだったり眺めがいい、など「心地がいい空間で過ごす」ことや「そんな中でゆったりと充実した時間を過ごす贅沢を感じる」、以前行った懐かしい土地や、まだ行ったことがない海外の食を食べることで「旅行気分を味わう」という価値があるなど、「体験的な要素の強いビジネス」の側面が強くあります。

コロナ禍が始まって4か月後の2020年7月の女性起業UPルームのメルマガで「提供する価値の再構築ができていますか?」という内容で書きましたが(女性起業UPルームメルマガ「コロナ禍での顧客の悩みに応えていますか?」

そもそも、同じ食のビジネスであっても「物販」に近い、「早くて安全でできれば安く、美味しく、空腹を満たす食事を提供する」形の食ビジネスであれば、「テイクアウト」に切り替えても顧客が離れることは少なかったでしょうが、多くは「その場」があることで上記に挙げたような付加価値を提供してきたビジネスであった場合、ただ「食事をテイクアウトできればいいか」ということで済まない難しさがあったと思います。それがなくなった時、デパ地下やスーパーの総菜コーナーの「中食」用の食品が充実していった時に、わざわざ店舗に立ち寄る、もしくはフードデリバリーの費用払ってでも食べられる「いつでも注文できる」手軽さなどが求められるようになりました。そこにこれまでの継続から発想を変えて「一工夫」を追加していく必要が出てきたと思います。

テレワークや人との密集を避けての運動不足解消で早朝からランニングや散歩に出る方も増え、個人的には、夜の営業が制限された飲食店は、朝、お腹を空かせた方が動きまわるその時間に「コンビニ店舗しか開いていない」のはチャンスを逃している気がしてなりませんでした。少し前にコンビニが「犬の散歩の立ち寄り先」としての需要開拓に成功しており、ドッグフードなど利益率の高い商品の売れ行きが伸びたというデータが出ています。コロナ禍でいち早く、横浜市内の都筑区の一角でコインロッカー形式の無人販売機をご自身のパンの販売箇所に契約された女性起業家の「あだちパン」さん(女性起業家たまご塾第5期修了生)が毎日、すぐに商品が売れて補充が忙しいくらいと、好調な売れ行きだと伺いました。

フードビジネスの可能性と難しさ

「食に関するビジネス」については、世の中の流れが「モノ消費からコト消費へ」へ移るなか、大きく伸びる可能性を以前から感じており、特に、「健康志向」の高まり、「食材へのこだわり」の強い方は高額な商品であってもそれ以上の「価値」を感じて購入する方が多く「利益率の高いビジネスになる」工夫が出来る要素が高い分野です。

ここに時代のライフスタイルへの変化に合わせた食の提供ができれば、ビジネスの可能性は色々と考えられます。

ただ、「食のレシピ」自体がこれまでもクックパッドや、さらにはYouTubeなどでどこでも手に出来る時代。特別な食材を使わない限り「真似されやすい」というリスクがつきまとうのがフードビジネスでもあります。白いたい焼き、タピオカ、高級食パン、多くの食のトレンドが生まれては短命で変わっていくのもフードビジネスの難しさでもあります。

また、最近では、シェアキッチンやレンタルキッチンなど、リスクを抑えて「作る場所」の確保ができるようになりましたが、保健所の許可を得た工房やキッチンを持つことが最初のスタートではハードルになることが多いです。

味やコンセプトも含めて、テスト販売で「売れるか」を試した後でないと、大きな投資が無駄になることも多いです。

根強くリピートされる商品であるために食材にこだわり健康志向に

当初、商品化予定の商品は甘酒など「発酵食材」を生地に入れ込んだ焼き菓子を予定されていました。これ自体、コロナ禍でますます強くなった「健康志向」の中で「発酵」など「腸の健康」を整えることが「免疫力アップにつながる」との認識が広がり一つの方向性としては良いものでしたが、一方で、「焼き菓子の製造販売」は多くの女性起業家さんがこぞって参入している分野でもあり、また、デパ地下にいけば美味しい焼き菓子やスイーツの有名店舗はいくらでもあり、またネットでも「お取り寄せ人気」の焼き菓子や「おからクッキー」などもいくらでもあります。

最近のスイーツのトレンドの一つに「ギルティフリー(罪悪感のない)」なお菓子があります。

これを食べると太っちゃうかも。糖分取り過ぎ?、カロリー高過ぎ?そんな後ろめたい思いをいかになくすかが、一番スイーツ購入においての「最大のハードル」を下げる」ことになるです。そんなことから数年前から「身体にいいスイーツ」が人気になりました。7年くらい前から米粉を使ったグルテンフリーのシフォンケーキやパンなどで販売や教室をされている女性起業家さんには成功事例が多くあります。逆に、これからは過当競争が目に見えています。特に最近のコンビニスイーツやお菓子コーナーでは既にしっかり「ヘルシーなおやつ」が並ぶようになってきており、「健康志向のスイーツ」は大手メーカーも参入してきている分野でもあるのです。

そんな中でコロナ禍のビジネスを考えるなら多くの分野で「必要度を上げる」ことが必要だと考えており、それは「お菓子」ではなく毎日食べなくてはいけない「食事」にいかに寄せていくか、が必要だと考えました。

また、これはもともと地域の方に愛される創作料理居酒屋が母体という意味でも、日々の「食事」の提供としての焼き菓子ができれば、つながるものでもあります。

既存のビジネスモデルの強化につながる新規事業であるべき

今回、コロナ禍で募集された、「復活事業支援金」を得ての新規事業開拓となったわけですので、そもそもの店舗型の飲食店ビジネスの良い点は引継ぎつつも、まったく新しいビジネスモデルを描くことで、全体として今後の世の中の変化に耐えやすいビジネスモデルの強化につながる事業であるべき、と考えました。立地がそれほど良い場ではないにも関わらず、地元のお客さんが訪れ、支えられたのは、料理の美味しさのみならず。店長、女将さんの人柄によるところが大きく素晴らしいと思いました。東日本大震災の時にも非常用品を備え、以降、地震や停電時にはお店に集まってくる一人暮らしの方がいらっしゃるなど、地域で閉じて欲しくないお店になっているのも大きいでしょう。人数を減らしつつも、会食で集まる予約が絶えず、お持ち帰りの予約も入る。こんな中でも危機的な落ち込みにならないでいらっしゃるのは素晴らしいと思いました。ただネットから全国への販路を持てていること、「その時、その時の食事」ではなく、「予約受注販売」という形で食品廃棄ロスをなくし、日持ちも多少し、場所や食べる時間も自由になる「食事提供の形」が増えるのは、店舗型ビジネスの弱点をちょうど埋める形になりビジネスモデルの強化につながります。

新たな「ニーズ」に向けた「フードリューション」解決策としての食品提供を

ビジネスの基本は「顧客の課題解決」にあります。

ですが、これまでフードビジネスについては、あまりその意識がされてきませんでした。

ただ空腹を満たすだけじゃなく、家族や大切な人とのコミュニケーションの場としての料理屋さんがあり。
でも、コロナ禍で外で誰かと食事がとりづらくなった時に、食に求められるものは?と考えると、身体にいいこと、健康に役立つことの重要度が増しています。さらに、働く女性が増えて、食事づくりの負担を感じる方は増えています。

以前は、M字型カーブを描くと言われ、子育てでいったん離職する女性が多かったものの、現在はM字の谷にあたる子育て世代の30代の女性の就業率は77%程度。働く母親は増えています。私自身仕事をしながら3人の子育てを経験していますが、保育園に連れていく朝の朝ごはんは大変でした。特に1人目を産んだ時は会社員だったので、朝は、パンをかじらせただけで、自転車に載せて連れて行きたくなるくらい忙しいかったけど、うちの長男の保育園で、「お母さん、朝の食事に野菜が入ってないですよ〜」と保母さんに指摘されて、「ん〜、野菜、どうしよう〜」と悩ましかったのを思い出しました。時間がない朝から、そもそも子どもを座って食事させるだけでも大変なのに、喜んで食べない野菜を追加するのって結構悩ましい。人参甘く煮たのとか、プチトマトくらい、野菜ジュースやコーンスープが精一杯。そんな忙しい時でもパクパク食べてくれて栄養バランスバッチリになる。そんなものがあったらどんなにいいでしょうか。

そんな最近増えて来たであろう、「働くママたちの朝の困ったシーン」に向けて解決策になる商品にしようと考えました。

もう子供が少し大きくなって塾やスポーツや習い事に行く前に食べるのにもスナック菓子や菓子パンをかじるよりも栄養価が高いもの。

テレワークすることになった男性や女性にも、時間をかけたくないお昼ご飯が、手軽さから、ついついあまり採りたくないグルテンたっぷりのラーメンやパスタになっていないでしょうか。そんなお昼ご飯にも、間食にもおススメできる健康的な食。

コロナ禍で学校が休校になったり、そうでなくても、家で食事を取る機会が増え、誰かしら家で仕事をしていたりオンライン授業を受けていたりする家では、多くが女性が担うことが多い食事作りの負担は増しています。一方で運動の機会が減り、消費カロリーが減りがち。またコロナに打ち勝つためにも「生活習慣病」にならない食生活を心がけ「免疫力を高めることも必要です。

高齢者の方や一人暮らしの方も増えています。食事を作る意欲も失われがちな高齢者は、栄養不足になっていることが多いとの報告があります。パン食を好む方も多く、軽いパンを中心にした食事で、本来摂るべき、タンパク質やカルシウムなどの栄養が不足している方も多いと聞きます。

これは、まさに「フードソリューション」「ミールソリューション」(食事における課題解決)の提案であり、売れるビジネスは必ず「顧客の課題解決」しようとすることから生まれます。フードビジネスもその例外ではありません。

白砂糖不使用。甘さ控えめ。野菜たっぷり、たんぱく質、それもできれば苦手な魚や豆などで採らせたいたんぱく質がいいなぁ~。手でつまんでサクッと食べられるけど食事に響きすぎず「罪悪感がない」。そんなことで商品の形が見えてきました。

完全栄養食としてのパンが売れる時代

既存商品を調べていた時に意識したのは、今やAmazonでも大手コンビニでも置かれるようになったBASE BREAD® (ベースブレッド)。1食で1日に必要な栄養素の1/3がとれるという完全栄養食として人気になりました。健康な身体づくりに必要なビタミンやミネラル、たんぱく質など日本人が大好きなパンで摂取でき、糖質は糖質36%オフ。

また、日清食品が「日本を未病対策先進国へ」の目的を掲げて取り組む「完全栄養食プロジェクト」も始まりました。

その前には、ヤマザキパンの「ランチパック」がシリーズを拡げて人気食品になっているのも、そのニーズを先取りしたものだったかも知れません。

ただ、これらより、もう少し、「食事らしいもの」を目指したい。「完全栄養食」に近づけつつも、ただ、栄養が採れればいい、とするのも違いますし、保存料など安全面にもこだわり大量生産品よりも手作りの安心感と温かみを売りにしたい。

売れている先駆者を意識しつつも、ポジショニングマップを少しずらしたところを狙うのが良いと考えます。

検索キーワード調査から「ニーズ調査」と既存商品を調べて「空白地帯」を見つける

検索キーワード調査からは、食にどんなことを求めているかのニーズが分かります。

レシピは探されているのに、完成品が売られていない食品は、一つチャンスがある分野かと想像できます。

今回、作ることになった商品は、まさにそんな商品です。

アレルギー対応や、グルテンフリー、低糖質、バター不使用、また、スーパーフードと言われるような「身体にいい!」と言われる食のトレンドは様々あります。どこまで、どうこだわるか、美味しさとの兼ね合いや食べやすさ、お客さんに試食してもらいながらレシピのブラシュアップを繰り返していただきました。

ただ、店舗に来るお客さんとネットで探し求めてくるお客さんとは、明らかに違います。

店舗があることはプラスにしつつ遠方のお客さんも取り込んでいかないことにはビジネスは拡がりません。

また、近くのパン屋やお菓子や、コンビニで手に入るものでは、「わざわざ」買い求めてもらうものにはなりにくく「リピーターがつきにくい」商品になります。リピートが生まれ、口コミや紹介をしたくなり、卸先店舗など取り扱いが拡がるのにも「こだわり」がとても大切です。

アイデアを「商標登録」で守れないかと考える

先にも書きましたが、フードビジネスの難しさは「模倣困難性」を築きにくいことです。よっぽど入手しづらい材料で作ったり秘伝のレシピや特殊製法などが限り真似されてしまいます。

ネットでの調査時点で「先行する販売事業者はなし!」という判断で商品化をスタートしましたが、同じようなアイデアに気付かれ、販売告知開始とともに真似する競合が増えてきてしまうことは否めません。

いかに「参入障壁」として、今回おすすめしたのは「商標登録」を申請することです。それもブランド名ではありません。普通名詞ではないけれど、商品の形がイメージしやすい名前を商標登録の申請をしていただきました。弁理士さんに相談はしていただいた上での申請ですがこればかりは、結果を待つばかりです。

「〇〇といえばこのお店ね」

市場で商品が認知され、競合が増えてきた時にも少なくともネットで検索すれば自社が出てくるように、そんなことからアイデア商品は商品名に工夫をし「商標登録」を申請することをおすすめしています。

この商品の販売についてはまだスタートしたばかりですので、具体的な商品の紹介についてはまた別のタイミングでご紹介させていただきます。

もう少し、先行できた時点でご紹介したいと思います。

投稿者プロフィール

ネット集客コンサルタント&女性起業アドバイザー 吉枝ゆき子
ネット集客コンサルタント&女性起業アドバイザー 吉枝ゆき子(株)ソフィットウェブコンサルティング 代表取締役
ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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この記事を書いた人

ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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