先日2021年6月19日(土)に開催された、豊島区・北区・荒川区3区合同で開催された 女性起業家トークセッション&オンライン交流会ではファシリテーターを務めさせていただきました。
登壇頂いたパネリストは、
目白の絵本屋「にこにこ書店」岩田亜紀さん http://www.nikoniko-books.com/
Babydoor株式会社代表取締役 中川 阿美さんhttp://corp.babydoor.net/
です。
2021年6月19日(土)に豊島区・北区・荒川区3区合同で開催された 女性起業家トークセッション&オンライン交流会 の募集時の告知記事はこちらです。
https://www.jyoseikigyou.com/history/20210619jyoseikigyoutalksession.html
当初2021年2月にリアル開催を予定しており、それにあたって「コロナ禍の中私たちのビジネスはどこへ向かうべきか」というサブタイトルを付けました。
女性起業家ならずとも多くの経営者の方は、
「コロナ禍の中私たちのビジネスはどこへ向かうべきか」。
この問いを常に頭において自問自答しならがら、答えのない中、進むべき方向を模索されてきたのではないでしょうか。
パネリストのお二人のお話を総括しつつ、
私自身も周りの起業家の方や、自身の行動も踏まえ、考えをまとめた『戦略的マーケティング視考コラム』として書いておきたいと思います。
コロナ禍が落ち着いた後も、今後、何が起こるともわからないビジネスのリスク対応をどう考えるかに共通すると考えています。
不必要な固定費を抱えない
岩田さんの場合、店舗を探す時点から「広すぎない店舗」を探され、資金計画を元に、この広さと家賃ならやっていけると当初考えた希望通りの空き店舗を見つけて、即決されました。
普段から不必要な固定費を抱えないことに意識が高い会社は、急な需要の落ち込みに対処し、持ちこたえる猶予が持てました。
また、中川さんの場合、普段から、資金計画を元に、どのくらいの売上なら経営として大丈夫か、どのくらいまで下回ると危機的なのか、常に数値的判断基準が持っていらしたので、重点を置く事業のシフトに素早く判断が可能だったそうです。
集客のアイデアを尽きさせない。収入になる方法は複数持つ
岩田さんのビジネスは単なる「町の絵本屋さん」にとどまりません。地元の教育熱心なママたちがお子さんのために良い絵本を買い求めるほかにも、地域のお年寄りがお孫さんへのプレゼントを探して立ち寄ったり。他にも独自の視点での「選書サービス」では、地方からも注文を受けていらっしゃいます。保育園での出張読み聞かせをきっかけにして、保育園で使う絵本の選書のご依頼とご注文をいただいています。また、絵本作家さんや出版社さんとのタイアップによる原画展など、精力的な様々な売上アップの取り組みをされています。
大人の需要も取り込むために、遅くまでオープンする曜日を作ったりされているのも絵本屋さんとしてはめずらしいかもしれません。
コロナ禍でおうち時間が増えそうだとなったタイミングでは、逆に、絵本を買いこみに来られるお客さんが増えたのだとか。
もともとITベンチャーで新規事業開発の担当だった中川さんは、新規事業のアイデア30本ノックは日ごろから。常に次の事業アイデアの検討に余念がないそうです。顧客の困りごとにアンテナを張り、ご自身もビジネスチャンスを見つける新しい新規事業ができないか考えているのはもちろん、社内メンバーからのアイデアを大事に拾い上げているそうです。
次のビジネスを常に先駆ける
中川さんの場合、外出自粛でベビーカーのレンタル需要が減った時にも、それ以前に渋谷駅である鉄道会社とのタイアップで実証実験を行っていた「ベビーカーの駅でのシェアリングサービス」をされており、それをきっかけに、新たに小田急電鉄とのタイアップで新宿で実証実験が始まりました。先を見て、次の事業の柱を育てる取り組みを始められていたのが効を奏したそうです。スマホアプリ開発など、それまでの取り組みが活かされた新規事業。
時代の変化を先取りしたベビーカーのシェアリングサービスは、業界初。電鉄会社の課題と子育てママたちの悩みを解決する新しい取り組みは、メディアからの注目されています。
競合に負けない付加価値の高いサービスと根強いリピーター
店舗を訪れ、一度でも岩田さんとお話された方は、その明るさと、絵本の魅力を伝えたい情熱と、保育士として、子育てしたママとしての経験や気配りからの絵本選びのセンスで、ネット書店にない、「にこにこ書店」で買う意味、買う価値を感じられることでしょう。
私も実際に店舗に伺ってみましたが、岩田さんのセンスで選ばれた本には、色んなシーンが想定されているなぁと感じました。例えば、おばあちゃんがお孫さんにプレゼントして一緒に読んだり。下のお子さんと一緒に上のお子さんと一緒にも本を買ったり。赤ちゃんの誕生日のお祝いに絵本を贈ったり。お子さんとママが絵本をきっかけに一緒に料理したりお出かけする、など。絵本をきっかけに楽しいことがワクワク始まるような、そんな工夫がされているのを感じました。
「大きくなったら何になりたい?」お子さんたちが将来に夢を描くきかっけになるような本も並んでいたりします。
コロナ禍の中で人びとが求めた「心をたがやす機会にしたい」「なつかしさで癒されたい」「心のつながりでモノを贈りたい」
そんな気持ちと絵本はマッチしたのかも知れません。
都内ということもあり、出版社さん、編集者さんたちも足を運んでくださるそうで、そんな方たちの中にも岩田さんのファンを作っていらっしゃいます。
中川さんのベビーカーのレンタルサービスについては、サービス開始にあたり、大手のレンタルサービスと何を差別化するのかをしっかり考えられました。トークセッションで説明頂いたポジショニングマップにはそれがとてもよく表現されていました。
海外セレブ御用達のメーカーの高級ベビーカーを揃え、また、そんなベビーカーで『Instagram映え』を狙いたいママたちにも選ばれるレンタルサービス。
今時のママ目線をしっかりとらえていらっしゃいます。
レンタル品も当初からどんどん増やしていらっしゃり、レンタル期限の終了前には電話で連絡して引き取り手配をする、など
細やかなサービスでリピート率が高いビジネスをされています。
単純な価格の安さで選ばない顧客を取り込んでいらっしゃるのがお二人に共通していると言えるでしょう。
ネットでの情報発信を活用した
中川さんの場合は、ベビーカーのレンタルサービスを知ってもらうために一番力を入れているのは、検索結果への広告なのだとか。
どれだけ広告費をかけて広告を出したら、どのくらいのお客さんの利用につながったのか、
ここでも数値を把握しながら戦略的に取り組んでいらっしゃいました。
ママたちがInstagaramに投稿することを後押しするキャンペーンを実施されたりはしていますが、
ベビードアさん自体はそれほどInstagaramに力を入れていらっしゃいません。
店舗の岩田さんにおいても、開店前からWordPressによるホームページを用意され、日々は、記事の追加のほか、Twitterを中心に新しく入荷したおすすめ本などの情報を発信されています。
Instagaramや動画など露出だけを求めたSNSの発信に必死になる方が多い中、
お客さんを誘導したい先のサイトをきっちり用意した上で、時間を有効に活用するために必要な発信に絞っていらっしゃるのが印象的でした。
Instagaramでの露出度を上げたいなら、Instagaramでの広告を活用したほうが時間も節約でき効果的ですし、
検索からアクセスしてくるお客さんのほうが購入意欲の高いお客さんを集客できます。
ウェブによる集客をコンサルティングしている私としても、おすすめしたいスタイルです。
コロナ禍を経た 顧客の意識の変化に向けた取り組み
コロナ禍の中にお二人が取り組んだ、新しいビジネスは、顧客の新しい価値観に沿ったものでした。
特に中川さんの高級ベビーカーのレンタルサービスやシェアリングサービス。
これまでの「モノを所有したい。」という欲求から
「身軽るに必要な時だけ あればいい。」
「気持ちがワクワクするもので みんなに『いいね!』と共感してもらいたい」
という新しい価値観が 今の若い層の顧客の中に生まれていることは、
バブル時代の意識を引きずった世代の方たちは意識しておくことが必要でしょう。
健康志向、SDG’s、脱炭素、コロナ禍の中で、加速したこうした顧客の意識の変化は見逃せません。
事業経営者自身のモチベーションを高く保つ
トークセッションの参加者の方からのご質問では「モチベーションをどうやって保っているか」というおたずねがありました。
私の周りの女性起業家さんでも、色んなご心配から活動を止めてしまったり、集客に後ろ向きになった方もいらっしゃいました。
時間は出来たはずなのに、ブログなどに向かう意欲がわかない、という方もいらっしゃいました。
でも、お二人の発想の中には、そのようなことは微塵も感じられません。
コロナ禍の中でも「どうやったらお客様に提供できるのか?」「この中で出来ることは?」を考え続けていらっしゃいます。
それでも日々、色んなことで気落ちさせられることもありますが、それでも、それぞれご自身のモチベーション高く保つため「気分転換」などの工夫や、そもそもネガティブな発想をする人のところに近づかない、などの工夫をされていました。
事業主自らのモチベーションはビジネスのエンジン。
常に、自分を「ご機嫌」な状態にし、モチベーション高く維持する工夫は欠かせないと思います。
お客さんに必要な商品・サービスだからこそ「止めない」
お客さんに選ばれる存在であることを常に目指しているお二人は、コロナ禍の中といえども止まることはなく事業を進められていたわけですが、
「不要不急」という言葉で判断されることが多かったコロナ禍で、休業要請に対応せざるを得ない業態もありました。
お客さんと接することで家族への感染リスクを高める
また、働いているスタッフさんの安全を考えてストップさせる、という選択をされた方もいらっしゃいました。
私自身は「要・不要」はお客さんが決めることなのではないか、と考えていました。
事業者自ら、自分が提供しているものを「不要」と仕分けてしまったらビジネスを止めることになってしまいます。
お客さんが必要と求めてくださるなら、「どのような形なら提供できるのか?」に最大限、工夫を凝らすべきなのではないでしょうか。
私自身はお客さんが「必要」と感じられるのなら対面コンサルティングにも伺うことにしていました。
その一方で「ZOOM」でのコンサルティングメニューも追加し、希望される方にはZoomでの相談が出来るようにしました。
(実際には対面でのコンサルティングを希望される方の率のほうが高かったです。)
また、セミナーにおいても、主催者の方にご提案して「リアル参加」も「オンライン参加」も可能なハイブリッドで実施するようにしていました。
お教室をされている女性起業家さんにも「リアル開催」と「オンライン開催」を並行して募集をかけることをおすすめしていました。
あくまでお客さんが、「必要」と感じていただけるなら、リスクをご自身で判断して選択できるようにしておく。
そんなことがコロナ禍への対応としてはおすすめすることが多かったです。
コロナ後を見据えて
ワクチン接種が進むと共に、以前の行動様式は戻ってくるかもしれませんが、
顧客の意識の変化に合わせて、どのような新しいライフスタイルの変化になるのかを予測しながら
コロナ禍の後のビジネスの方向性を見据えていく必要があるでしょう。
ネットやITを活用したビジネスは今後も加速していくでしょう。
ただ、単純に、ネットでの販路を求めても競争は激化します。
自社の強みを見据え、何のために、どんな顧客のために事業を進めていくのか
足元を固めながら
時代を先読みし、新しい変化をいち早くとらえて商品やサービスの形にして顧客へ提案していくことがチャンスをつかむと考えています。
投稿者プロフィール
- ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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