第2次米粉ブームの波が起きている
日本農業新聞2022年5月28日付の記事によると、2018年度より「第2次米粉ブーム」が起きており、22年度も数千トンの増加が確実視されるとのことが書かれています。
記事では、主に米粉用米の品種改良が進んだことや、ウクライナ問題に端を発する小麦粉価格の高騰などを背景に、今後ますます米粉ブームが続くと書かれています。
「第2次米粉ブーム」真っ盛り 小麦の代替→味評価 加工技術や専用品種、追い風に
コロナ禍の健康志向、ナチュラル志向の高まりが背景に
コロナ禍の健康志向の高まりから、『グルテンフリー』の食への関心も高まっており、この傾向は、今後も長く続くと考えています。
また、子ども達の食物アレルギーは、増えており、アレルギーの原因になる食材も増えています。特に、小麦粉アレルギー、卵アレルギー、乳アレルギーを持つお子さんは多く、製パンや菓子製造業をされる方には、このアレルギー対応をした商品ラインナップを加えることをおすすめしてきました。
アレルギー対応商品なんて、極一部の方にしか必要ないのではないか?と半信半疑で、提案を採用頂いた方からは、こうした商品を求めてくるお客さんは「わざわざ買い求めに来てくださる根強いリピーターになってくれる」という反応を得ていただいています。
米粉ブームの先駆者的な女性起業家さんの成功例は2014年から
『食』へのこだわりが高い女性の起業家の方には、早い段階から、子どもたちの米粉アレルギーに対応する形で「米粉のパン教室」での成功された方もいらっしゃり、私が相談員としてかかわっている女性起業家たまご塾では、米粉ブームの先駆け期の2014年には、『ふんわり米粉パン』の書籍を発行し教室を満席にされていた多森サクミさんほか、2015年から米粉シフォンケーキの教室と販売をスタートされて全国から生徒さんを集めた米粉シフォンケーキ工房Karinの安藤さんなど。
まだ『グルテンフリー』などの健康志向の考え方も一部の方にとどまっていた当時から、「米粉」の将来性に着目し、取り扱いが難しく美味しくつくれるレシピが少なかった頃からレシピ開発に取り組まれていたお二人は、先駆者ならではで、どんどん生徒さん、お客さんを取り組んでいらっしゃいました。
「小麦粉より米粉が健康によい」とされる理由
何が身体によい食事か、の考え方は、分かれますので、下記の正否は議論はしませんが、
薬膳など食に関わる女性起業家さんから聞こえてくる「小麦粉」より「米粉が身体によい」とされる理由は下記のような内容があります。
コロナ禍中のベストセラー本でも、健康志向の高い本が多く出版されていますし、それらの内容を解説したYouTube動画も再生回数を集めています。
一部の健康オタクの方の考え方ではない、ととらえたほうがいいでしょう。
「天然酵母」のパンは売れ残り、米粉パンが完売する販売現場
実は、先週の日曜日に、横浜市の青葉区にある「あざみ野ガーデンズ」というショッピングエリア内にある「マルシェ」に立ち寄ってみたところ、天然酵母パンの前日の売れ残りが2割引きで販売されている隣で、すっからかんの完売になっている「米粉のパン」コーナーを目にしていました。青葉区エリアは、横浜市内では、慶応大学付属の小学校があるなど、富裕層が住むエリアです。その中のマルシェは、群馬・埼玉産を中心とした産地直送の新鮮な野菜・果物やこだわり加工品を販売していて人気のショップです。
少し前なら、「天然酵母のパン(小麦粉)」は、ドライイーストで作られたパンと違って、身体によく自然な甘みがあるなどで人気であったのですが。。。
業務スーパーの「天然酵母食パン」が売り切れになるほど大人気となりましたが、一方で、業務スーパーのような大手が200円という安価で天然酵母パンを出してきた今、なかなか、「天然酵母」という売りだけでは売れづらくなってきたのかも知れません。実際、こちらのパン、材料などは良質で添加物などなく丁寧に作られていると思いましたが、380円は少し、高めな印象を持ってしまいました。
実際、「天然酵母」といってもいくつか種類があり、簡単に購入して使うことができるものと、取り扱いに手間がかかるものがあるようです。よりこだわり感を出したいところは「自家製天然酵母」など、酵母から育成していることをうたっているお店も出てきています。
「美味しい」で勝負するより、「身体によい」が求められている
食のビジネスを考える方には、米粉への取り組みも含めて、「ヘルシーに寄せること」をよくご提案していますが、その時にどうしても「おいしさでは、小麦粉で作ったほうが美味しい。」ということで、難色を示されます。
業務スーパーでも天然酵母パンを作ったのと同じように、ナチュラルローソンだけでなく、多くのコンビニのスイーツやお菓子コーナーをのぞいてみていただきたいです。
大手であっても、低糖質や、高たんぱく、低カロリー、食物繊維が多いなどを売りにした商品を投入しています。
それだけ、普通に「美味しい」だけでは売れにくくなっているのです。
「ギルトフリー(食べても罪悪感のない)」のスイーツという新分野
購入時の「自分に対しての言い訳」があるスイーツ、「ギルトフリー(食べても罪悪感のない)」のスイーツという言い方も流行っています。
一方で、「本当に、それだけ多くの方が、健康な食事をしているのですか?」とも聞かれます。
答えは「いいえ」です。同じ人間でも、甘い食事やこってり油のラーメンや唐揚げを食べてしまった後、一方で、それを「帳消し」にするために、「身体にいい食べ物」を求めたりするのです。コンビニでも「スパム(ハムのような加工肉)おにぎり」がヒットする横で、「ナッツバ―」のようなおやつが買われるようになっているのです。
人間の心理は複雑で面白いですね。
日本人である私たちには米がベース、海外の和食ブームも背景に米粉へと進むべき
輸入小麦の高騰で、健康へのこだわりがある、なしに関わらず、今後、米粉ブームは加速すると想像します。
日本の米は、コロナ禍で外食需要が減ったことで逆に安価になっているそうです。
また、インバウンドブームの再来と、コロナ禍の中、感染が比較的抑えられていた日本について、納豆などの発酵食品や米などの和食に免疫力を高める要因があるのではないかという見方もされています。「和食」は既にユネスコ無形文化遺産として登録されています。
食は、もともとその民族が育った土地に育つものを食べるのが気候的にも合っていて体にもよいとされています。
洋食と共に小麦粉を食することが増えた日本人ですが、長い目で見て、米食の良さに気付き、戻っていく流れがあると考えます。米粉ブームは、長いトレンドとなっていくと予想しています。
<追記>温暖化でもともと熱帯地方で育つ米の方が収穫量の影響が少ないか?
後日、ラジオで耳にした情報によると、日本の米の収穫量が温暖化で影響を受ける可能性は心配されていますが、もともとが熱帯地方で育つ植物であるため、小麦粉より温暖化に対応した形での品種改良がしやすいのではないか、という考え方があるようです。実際、既に小麦粉は収穫量が減り始めているのだとも。
投稿者プロフィール
- ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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